Archive for 2014/08/23

RapidMiner World2014@ボストン

オープンソースのデータマイニング&ビジネスアナリティクス、RapidMinerのワールドカンファレンスに参加してきました。昨年はポルトガルでしたが、今年は彼らの本社をドイツから米国に移したこともあり、本社のあるボストンで行われました。旧来のRapidMinerを創業してきたマネジメントメンバーや開発メンバーに加えて、ビジネス推進する新たなマーケティングやセールスのメンバーも増えていて、フレンドリーな雰囲気を残しつつ成長の勢いを感じさせました。以下、簡単ながら報告です。

プレカンファレンス:前日にMeet Upと初心者のためのRapidMinerトレーニング&上級者向けのハッカソンが開催されました。

カンファレンスDay1

・オープニング:RapidMiner CEOのIngoによるご挨拶。GartnerでのLeader評価、コミュニティメンバーは25万人に増えた。RapidMinerの歴史と今後のVisionや間もなくリリースするCloudについて。

・Keynote:BigData and Old Data: Challenges of Embedding Predictive Analytics in Real Applications and Processes:Barcleys Bankチーフデータオフィサー Usama Fayyad氏による基調講演、ビッグデータやチーフデータオフィサーの説明、Hadoop

・Case Study:Modern Marketing Concept、 コンサルタントBrian Tvenstrup氏によるクロスセルとレコメンデーションの実務事例の紹介

・Case Study:Dataminig for the massesの著者、Matthew Northk教授によるRapidMinerを使った学生へのデータマイニングの教育の紹介

・Case study:RapidMinerコンサルタント Tong Ji氏によるBIがどのようにPredictive Analyticsをサポートできるか

・アナリストセッション:アナリティクス分野のアナリストJohn Mayer氏による地域ごとの分析ニーズの違いや各ベンダーのアプローチなど

・パネルディスカッション:CEO Ingo, John Mayer, Microsoftの技術コミュニケーション管理部門ディレクターCathy Wissik氏によるビッグデータの活用、プライバシーの問題、データ分析の教育についてなどの対談、ディスカッション。

・Technicalセッション:1)Belgrade大学の方によるメタヒューリスティックベースの最適化、Extensionの紹介、2)Cork技術大学、Daryl O’Toole氏による気象データとマイクロ波通信ネットワークの関係、故障予測

その後、みんなでBostonダックツアー(水陸両用バス)とSeaport HotelでDinner

 

カンファレンスDay2

・Keynote2:Intelのパテント管理マネージャーMichal Skinner氏による特許情報のマイニング、エジソンのパテントレコードを例にしたSemantic Text、Patent Search,Visualizeの紹介

・RapidMiner RoadMap:Chief Product Officer Giuseppeによる今後のRapidMinerの紹介。キーワードは、Accelerate(より速く), Connect(より他のデータソースにつながり), Simplify(より簡単にする)こと。2014年テーマはCloud Analytics, All data&All enrironment、2015年はPrescriptive Analytics、High-performance Analytics、2016年はWeb Enablementを行う。

・Case Study:ALVIA Tech Kleber氏、医療ヘルスケア業界における不正検知の事例

・Partner session1:金融コンサルタント S.McGover氏によるFinancial Analytic、昨年のポルトでも発表したNASDAQやFEDデータ取得のRapidMinerAPIの紹介

・Partner session2:David WeismanによるPrescriptive Analyticsの紹介、今回のセッションの中で一番示唆に富んでいた。ハイプサイクルの初期の段階であり、今後ブレークする可能性もある。Predictive Analyticsをさらに一歩進めた考え方。IBM(CPLEX)などベンダーもまだ対応はこれから。同様のツールには原始的なものとしてはExcelのSolverがある、洗練されたものとしてはOR専用ツール(プログラム)があるが、汎用的なツールはまだない。RapidMinerはこのホワイトスペースを埋めれるのではないかというもの、実際にExtensionも紹介された。(MarketPlaceでDLも可能)

・RapidMiner with Hadoop, お馴染みZoltanによるRadoopの紹介、今回RapidMinerとの経営統合により正式にRapidMinerのVPとなった。

・Simon Ficherによる間もなく公開されるRapidMiner Cloudのデモ

・Game show:参加者によるRapidMinerを使った公開ゲーム

・CEO IngoによるEnding remark

 

参加国は20か国に及びアメリカ以外にもEU諸国、アジアからはインド、韓国、日本からパートナーが参加しました。製品自体は十分に普及していっています。あとはいかにビジネスをドライブしていくかが課題だと思います。しかし十分な資金と知名度を得たことで優秀な人材が集まってきており、今後のさらなる成長の予感を感じさせました。我々も日本パートナーとしてさらなる支援を続けていきたいと思います。

 

 

 

オープンソースでビジネスするということ

KSKアナリティクスでは、アナリティクスに特化したオープンソース(OSS)を取り扱っています。OSSには、Hadoopを提供するApache Software FoundationなどNPO的な機関もあれば、通常の営利目的の企業がソフトウェアを効果的に開発・提供するためソースコードを公開しているOSSもあります。

私及びKSKアナリティクスが気を付けていることは、そのOSSがどのようなバックグラウンドで生まれてきたか、そして何を目指しているのかです。それはOSS(著作者)が採用するライセンスに反映されます。(ApacheライセンスとAGPLでは大きな想いの違いが存在します。)またそれを開発したベンダーのビジョンやビジネススタイル、マネジメントメンバーの姿勢を知ろうとします。そうしないと後々上手くいかないからです。

例えばOSS BIのPentahoがあります。彼らは2005年に4つのOSSが集まり、VCから資金を調達して作られました。当初からビジネスを強く意識していました。なのでKSKアナリティクスはコミュニティ版のサポートをしてほしいというお客様のリクエストをお断りしてきました。なぜなら我々がそれをやってしまうと、我々は一時的に儲かるけども長期的なPentahoのOSSは成長しないからです。それは回りまわってユーザーやメンバー、自分のためにもなりません。

当社は経営理念の一つに、”地域やコミュニティに貢献(K)を”を掲げています。OSSは正直いって素晴らしい考え方だと思います。これらの概念を作ったGNUのR.ストールマンはじめ先人たちに本当に敬意を表します。ただその果実を収穫するだけだとすぐに木は枯れてしまいます。多くの水をやり肥料をやる人や時間が必要です。OSSの木を育てることはやりがいがあり、価値のある仕事だと思っています。