優れたビジネス・リーダーにはなぜ読書家が多いのか?

「読書家→優れたビジネス・リーダー」、とは必ずしもいえませんが、

「優れたビジネス・リーダー→読書家」というのは、みなさん感じておられることかと思います。

読書は、優れた(何をもって優れているかは価値基準はいろいろありますが)ビジネス・リーダーにとって、十分条件ではないにしても、必要条件ではないでしょうか?

今、「坂の上の雲」を読んでいます。かなり以前に読んだはずなのですが、今読んでみるとまた違った感覚で読めて面白いです。その中で、秋山真之の描写に、はたと気づくことがありました。秋山真之は、日露戦争において作戦参謀として大きく活躍した海軍の人ですが、彼がこのポストに上るきっかけになったのが、米国留学中に米西戦争を観戦武官として視察したレポートでした。その正確さ、ポイントのまとめ方は秀逸で、類を見ないほど素晴らしかったといいます。彼は、非常に多読家で有名でした。「秋山の天才は、”帰納”によるものである」と言われました。

この”帰納“という言葉で、はっとしました。物事を帰納する力こそ、ビジネスリーダーに必要だと思ったからです。それは私自身への反省でもあります。つまり、以下のようなことを問われた気がしたのです。

「いくら多くの本に触れても、そこから結論に帰納しなければ生きた知恵とならない。」

「いくら多くの情報をインターネットで得ても、そこから結論に帰納しなければ単に”知っている”というだけで終わる。」

「いくら海外のMBAで多くのケースタディを行っても、そこから結論に帰納しなければ、実際のビジネス上の意思決定では助けにならない。」

「いくら多くのデータ活用事例をセミナー等で集めたとして、そこから結論に帰納しなければ、自社やお客様にとっての有効活用は程遠い。」

当たり前のことなのですが、多くの情報を集めた上で、自分なりの肚(はら)に落とすことを忘れては、結局知識は使い物になりません。秋山真之の仕事(彼は一生の大道楽と言っていたようです)に対する姿勢から、そんなことを改めて気づきました。

優れたビジネスリーダーは、読書から多くの情報や経験を得るだけでなく、自分の中で帰納させることで、ゆるぎない信念や判断基準を醸成させるから、偉大な仕事ができるように感じます。私も日々の読書に対する姿勢や考える時間の取り方を見直していきたいと思います。まずはこのBlogが私の”帰納”の第一歩です。

 

 

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